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 醜く寂れた男に誰も見向きなどしませんでした。
猫だけが男の友達でした。

 お爺さんは男を料理人にしようと思いましたが、男はボロボロになったあげく、まだフライパンで砂を持ち上げることも出来ないくらい弱っていました。
また味覚も音痴で酒と薬品の味もわからないくらいでした。
 
そこでお爺さんは猫の世話と材料の見張りを男にまかせました。


 男が料理人のお爺さんから貰った最初の仕事は食材を害虫から守ることでした。そして一回分の料理の食材を洗って切って準備することでした。

 猫が虫やネズミを捕まえるので軽い仕事だと男は思っていましたが、実は猫が食材の最大の天敵でした。

 猫を触った手で食材を準備するとたちまち野菜が腐り、異臭を放ちました。
石鹸で洗ったくらいでは消えませんでした。


 男は困りました。
お爺さんがどうしてるか覗くと、お爺さんは料理中は火で両手を焼いてあるためお爺さんの触る食材は無事でした。

男は火をまだ使うことを許されていなかったため、別の手段を考えなければいけませんでした。


続く
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